AGI・ASI駆動科学

AGI・ASI駆動科学

シンギュラリティといって、AGIの自己改良(知能爆発)で科学技術が加速度的に発展するという推測があります。

まず、科学研究へのAIの関わり方は2通りあります。
①人間が道具としてAIを活用
②AIが科学者として活動

①は人間が決めた範囲での法則性の探索などを行わせて時間短縮になりますが、人間の能力に依存します。
②の場合を考えていきます。

AIの能力は、次のように仮定します。
AGI:平均的な人間の研究者と同等(1人と同等)
ASI:全ての人間の研究者より優れる(∞人と同等)
理想知能:全ての問題の最適解を出力

複数人の場合を考えます。
人数を増やすほど、最も優れる人の能力も上がります。
人間でも人数が無限大なら、ASIと同じ能力があります。

裏返せば、ASIには∞人の研究者と同等の能力しかありません。

人間の研究者を∞人にした場合を考えれば、ASIによる科学技術の発展の限界がわかります。

AIが持ちうる科学研究能力を要素に分けてまとめました。

 生成AI人間(1人)
/ AGI
人間(∞人)
/ ASI
理想知能
速度
独創性×
論理性×
客観性××
AIが持ちうる科学研究能力

∞人の人間でもASIでも、客観性だけは不完全です。

理想知能でなければ、客観性の欠如が科学技術発展を制限します。

科学研究の客観性

科学は主観的ではなく客観的なべきです。
論文では実験条件を示して客観的な再現を可能にします。

しかし、論文には著者が得することしか記載されません。
偶然にでも、うまくいった事例のみを記載します。
同じ条件で何度失敗したかは、書く必要ありません。
何か特別なことをした場合でも記載を省略できます。
記載しないことは嘘をついたことになりません。
統計計算の方法も、都合が良いものを選びます。

論文は客観的に見える内容を主観的に選んで記載します。
論文は嘘さえなければ偶然間違えることは許容されます。
ASIであっても、他者の実験結果の追試が必要です。
むしろ賢いほど、巧妙に良く見せようとします。

作為的な操作には次の2つがあります。
①作為的なデータの取捨選択
②作為的な帰納推論の条件選択

演繹では客観的な推論が可能ですが、帰納推論には主観的に決める余地があります。

①②は次の方法で防ぐことができます。

①不都合なデータの削除・忘却を禁止する
人間とは違って、機械にならこの制約ができます。

②客観的な帰納推論の方法を決めて従う
現代の科学には帰納についての公理や定義がありません。
客観的な帰納の最適解を定義します。
定義に従って計算するだけで、理想の知能になります。

これはAIだけでなく人間にも当てはまります。
人間による科学研究の精度も最大化できます。

科学技術を際限なく発展させるには必ず必要になります。
一見良い結果が高速で生成されることよりも重要です。
当組織が帰納について研究して、帰納の最も適解を定めたのは、そのためです。

科学研究の速度のボトルネック

帰納の最適解を出力する理想知能なら際限なく科学技術を発展させますが、速度には制限があります。

一般的な科学の研究は、次のステップで行われます。
(1)他者の論文を読む ←省略可能
(2)他者の論文の検証(追試) ←省略可能
(3)仮説を立案 ←速度制限なし
(4)実証実験 ←ここがボトルネック
(5)論文を書く ←省略可能

(1)(5)は、AIが全ての情報を共有すれば省略可能です。
(2)は、同じ帰納の理論に従うAIの間では省略可能です。

(4)は、省略できませんが、減らすことができます。
帰納の理論があればデータから言えることは客観的です。
必要最小限のデータだけを採取できます。

法則なき究極の科学

どんな自然法則でも、明日も成り立つかは分かりません。
宇宙が急に変化する可能性があります。
これまで成立したから明日もするだろうと帰納します。
どんな法則でも成立するか否かを仮定して予測します。
いわゆる帰納による一般化です。

成り立つと仮定すると、そうでない可能性を見逃します。
逆の場合も同様です。
いわゆる早すぎる一般化による帰納の錯誤です。

最高精度で推論するには個別帰納する必要あります。

①一般化帰納:個別の事例から、一般的な法則を推論
②個別帰納:個別の事例から、個別の事例を推論

常に法則が成り立つだろうという仮定はしません。
常にあらゆる可能性を想定します。
つまり、最高精度に推論には法則は必要ありません。

ある理論に肯定的な観測があっても、その理論の全てが正しいとはせず同様の事例にだけその理論を適用します。
異なる複数の理論を客観的な割合で混合もできます。

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