帰納の公理
帰納について、公理を定めます。
現代の数学には、帰納の公理がありません。
公理があれば、客観的な推論が可能になります。
普遍的な帰納推論法の一般帰納法が導かれます。
(1)確証性の原理と公理
確証性の原理:法則を支持するデータが多いほど、その法則の確からしさは増大する
確証性の公理:法則を支持する元が多いほど、その法則の確からしさは増大する
確証性の原理では、データが何を指すのか不明確です。
データは集合の元であると定めたものを公理とします。
例えば、太陽が東から昇ると観測した日付が元です。
同じ日に何度も観測しても、確からしさは増大しません。
観測した元の数は同じだからです。
確証性の公理は、情報の量についての公理です。
枚挙的機能における、枚挙された数についてです。
情報の質については別の公理があります。
例えば、観測者が誰であったかという情報は、元の数は同じでも、情報の質には影響します。
(2)必然的確証の公理
必然的確証の公理:使用可能ではない情報や乱数によって、確からしさに差は生じない。
一択を選ぶ必要があり、やむおえず乱数で選択する場合でも、選ばれたものの確からしさは増大はしません。
乱数表ではなく、全く無関係な情報によっても、確からしさは変化しません。
無関係かどうかは判断が困難です。
少なくとも、質問者によって使用して良いと定めたもの以外の情報は、無関係と見做します。
(3)論理和不確証の公理
論理和不確証の公理:「A→C」の観測で、「A or B →C」の確証は増さない
例:「AボタンまたはBボタンを押すとランプCが点灯する」
Aボタンだけを何度も押してランプC点灯を確認しても、BボタンでランプCが点灯する確からしさは増しません。
ランプCがついていたかどうかの議論なら、片方の条件を満たしたのを確認さえできれば十分です。
命題が正しいかどうかの議論なら、論理和になっている命題は、個別の命題に分けて検証する必要があります。
「1 or 2」はダメですが「1以上 and 2以下」のように論理積で表現できれば許容されます。
(4)順帰納の公理
順帰納の公理:写像の近さが不明なとき、元が近いほど写像が近いと推測
例) y=f(x) x:元、y:写像
少なくともxが同じなら、yも同じになります。
他に情報がなければ、xのみで、yの近さを推測します。
x2がx3よりxに近ければ、y2はy3よりyに近いと推測。
x2がx3よりxに近いと、何度も観測する必要ありません。
元の個数ではなく、品質についての公理です。
品質とは、類推における類似性のことでです。
(5)逆帰納の公理
逆帰納の公理:元の近さが不明のとき、写像が近いほど元が近いと推測
例) y=f(x) x:元、y:写像
yが同じでも、xが同じとは限りません。
しかし、他に情報がなければ、yからxを推測しなければなりません。
y2がy3よりyに近ければ、x2はx3よりxに近いと推測。
(6)集合帰納の公理
集合帰納の公理:元を任意の条件で集合に分けたとき、自身が所属する集合の方が写像が平均的に近い
例)
苺をある大きさでグループ化たとき、同じグループのものは平均的に味が近いと推測
グループが同じかどうかしか判断材料がなければ自明。
平均的に近いだけで、元同士が近いとはいえません。
例えば、1~5cmと6~10cmの2集合に分けたとします。
同集合の1cmと5cmのものより、異集合の5cmと6cmのものの方が味が近いと推測できます。
(7)不明の公理と定義
不明の定義:情報のない値は「不明」とする
不明の公理:推測対象の「不明」値には、事前にとりうる値が分かっていれば、その確率分布だと仮定してよい
例1)
コイントス1回目の結果を推測
情報がないので、推論結果は「不明」です。
「表」「裏」の2つの状態しかとらないと分かっていれば、それぞれ50%と推測できます。
実際には、どちらでもない状態もありえます。
例2)
写真につけられたタグを推測
「不明」ですが、学習データのすべてタグの均等分布と推定できます。
出題者が均等分布にして良いと指示した場合と、やむおえず自主的に均等分布にした場合は同じではありません。
平均値やばらつきを評価する際には、「不明」のままでは計算できないので、均等分布と仮定して計算します。
勝手に均等分布を代入して推論結果としてはいけません。
(8)無劣化連続化分布の公理
連続化帰納の公理:標本集団の無劣化連続化分布が母集団のノンパラメトリックな推測値になる
(9)不偏平均絶対偏差の公理
不偏平均絶対偏差の定理:不偏平均絶対偏差は、母集団から新たに無作為抽出するものの残差の期待値
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